昼耳

2015年2月14日

前回のつづきです。

私はあれから妻と結婚し、娘も2人生まれ、幸せな生活を送ってきたなかで、以前はあんなに求めていた
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コイツの事を、ほとんど忘れかけていました。

そんなある日、私はおそうじ本舗の仕事で使える良い掃除道具はないかと100円ショップによりました。
このブラシは汚れ落ちるかな?とか考えながら何点か商品を選び、何名か順番待ちをしているレジの列に並びました。するとレジ前のオススメ商品コーナーに、見覚えがある円柱型の半透明なケースの中に入った黒いモノが。

そうです。
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コイツでした。コイツと、目が合ったのです。

「あっ・・・。久しぶりね・・・。」
私はそう言われてるような感覚に陥りました。
「・・・やぁ。久しぶり・・・。君、あれから『やみつき棒』なんて名前で、ここのお店で働いてたんだね。」
「そうよ。私ってこう見えてもこのお店の売れっ娘なんだから。」
「わかってるさ。俺だって昔は君にやみつきになって耳から血出したくらいだから。懐かしなー。ゴメンなー。でもさー・・・。今は・・・。」
「いいの!分かってるから!奥さんにも悪いし・・・。だから、そのまま、行って・・・。」
と、いう会話をしているような妄想に陥った私は、その瞬間、円柱型のスタイルをしたコイツの身体を鷲づかみにして買物カゴのなかに入れてしまったのです。
そして、遂に、妻との約束を破り、コイツをレジに通してしまったのです。108円を支払って。
そして、おそうじ本舗の車に戻り、封を開け、コイツを一本取り出しました。
妻に対する後ろめたさと罪悪感を持ちつつも、ゆっくり、しかし力強くコイツを己の耳の穴に入れ、掻き出すと、コイツの頭には初めて出会った時と同じように、真っ白な耳垢で一杯になっていました。

それから私は,また耳から血が出てはいけないので一週間に一度と決め、火曜日のお昼休みに、コイツで耳を掻きました。毎週火曜のお昼はおそうじ本舗の車の中で、妻が朝早くに起きて作ってくれたお弁当を食べた後、妻との約束に背いてコイツで耳を掻くという背徳行為を繰り返してしまったのです。

そして、妻にそんな私の行為が知られてしまう時はきたのです。
その日の火曜日は、おそうじ本舗の清掃作業が忙しくお昼休憩が取れず、清掃終了後に耳を掻き、そのままおそうじ本舗号で帰宅したのです。家族と住むアパートに着くと、ちょうどおそうじ本舗号のヘッドライトの光の射す方向に、0歳の次女を抱っこひもで抱え、長女を乗せたベビーカーを押し、食材のたっぷり詰まったエコバックを下げた妻の姿があったのです。
私が駐車場におそうじ本舗号を停め、車から降りると
「あっ!パパー!」
と、妻にベビーカーから降ろされた長女が、私の元まで走ってきました。長女を抱え上げた私は身体一杯に幸せを感じました。その光景をホッコリとした眼差しで見守っていた妻がフッと何かに気づきました。そして
「何あれ?」と妻の指差す方向にはおそうじ本舗号のフロントガラスで、その先にあったのがコイツの姿でした。
私はいつもは助手席の手前の引き出しにコイツをしまっていましたが、この日は慌ただしくしていたのでコイツを使った後そのままフロントガラスの手前に置き忘れてしまっていたのです。

妻はその形から、自分が指差すモノが、コイツであると気付きました。
「・・・いや・・・。違うんだ!これは・・・。」
私の口から、その後に続く言葉は何もでてきません。
「・・・はぁ~・・・。」
妻はひとつため息をつき
時間にすれば一瞬、しかし私にとっては永い静寂のあと妻の唇はゆっくり動きました。
「・・・あのさー。・・・コソコソするんなら、もっと違うことでコソコソしなよ。」
街灯のうす黄色い光に照らされた妻の顔には、少し呆れ気味な、しかし優しい微笑が見て取れ、娘たちとアパートの階段を上がって行きました。

それ以来、私は妻の目の前で堂々と
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コイツで耳を掻くことができるようになったので、毎週火曜の寝る前に掻いております。

ちなみに
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こっちは、未だに180本くらいは残っているのでした。めでたしめでたし。

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